インバーアラン/INVERALLAN
インバーアラン社が、スコットランドのハンドニットメーカーとして創業し、約30年が経ちました。インバーアラン自体は、そもそも、スコットランドのマスプロダクトでは出来ない、特徴あるベストクオリティーな製品を、インバーアランブランドの名のもとに集めることにより、始まったものです。取扱商品は、ハンドニットのほかに機械編みのシェットランドセーターやツィードのハンティングジャケット、またシングルモルトウイスキーやゴルフ関連の製品など、多岐にわたって手がけてまいりました。これらの製品のほとんどすべてが、ハンドメイドやハンド仕上げになっています。
ハンドニットについて
インバーアランのハンドニットは、1人のニッターが、少なくとも25,000ステッチからなる1枚のニットを約90時間かけて編み上げます。よって納期については、糸の調達から最終の出荷までで、通常は約6ヶ月かかるものです。オーダーの内容=難易度に合わせて、適切なニッターを選び、糸とニッティング・パターンをそれぞれの家庭に送ります。インバーアラン社には、約3,000人のニッターが登録されていて、それぞれの家庭でニットを編んでいます。ニッターは、それぞれの技術と経験により、A, B, C, … とランク分けされ、管理されています。
もちろんすべて完全なハンドメイド、手作業による仕上げのため1点ごとにその製品の固体差があります。同じサイズでもニッターの編み方で、きつめの人とゆるめの人でサイズに差がでてきます。しかしこの固体差、雰囲気の違いが大量生産品と異なった魅力ともいえるでしょう。製品の差は、ハンドニットならではの個体差であり、ニッターの個性でもあります。
アランセーターのパターンの歴史
アランセーターのパターンについては、9世紀初期のスコットランド史のなかに記録されています。もっとも最初のパターンは、先史時代の石碑の象形文字のなかにあります。後に中世になると、伝統的なアランセーターのパターンは、スコットランド東部・沿岸地方とイングランド、スコットランド西部・沿岸地方とアイルランドのふたつに分かれていきます。前者では、ヨコ編みが主で、それぞれの漁村ごとのパターンができました。後者では、タテ編みが主で、ファミリーごとの、その職業をあらわすパターンができました。
19世紀後半になるとスコットランド東部沿岸地方の漁師の妻たちが、Circular Needles(丸編み)でシームレスの“Gansays(ギャンジィー)”ニットを彼女たちの住む漁村のパターンで編みはじめました。Gansaysニットは、毎日厳しい気候のなか、漁に出かける男性達のために、オイルの未脱脂の糸を使うことで、防水、防風に優れていたのです。
アランセーターのニッティング・パターンには、それぞれに意味があります。それは、何世紀にもわたり、アランセーターを編んで着ていた人々の厳しくも、尊い生活を映し出したものでした。インバーアラン社の手編みのアランセーターは、そういった美しさと本当の伝統を感じることのできる商品といえるでしょう。
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